意外と守れられていないシナリオの定石
今まで映画などのシナリオを観察していると、海外映画や邦画、ドラマなどで、意外と守られていないことが多い定石があることに気が付きます。
この映画、ドラマ、つまらないな…と感じたときに分析すると、高確率で突き当たる2大定石。それは…
●明確性
●説明ゼリフはNG。エピソードで示せ!
です。
明確性
一体これは主人公が何をする話なのか?
このストーリーのテーマはなんなのか?
これが意外と明確でないまま話が進んでいって、途中からなんとなく分かっていく(そしてあまり興味のそそられない、中途半端な目的であることが多い)…というものが良くあります。
何を楽しみにして見たらいいのか、観客としては、スタンスに困ってしまいます。
これが漫画なら、よほど雰囲気や絵が気に入ってくれてない限りは、読んでくれる人は少ないと思います。
そして、この明確性に関して、いわゆる名作と言われるベストセラーの漫画は大抵、世界観は1〜2 p程度で説明され、これはこういうお話ですよ!という説明が完了するのに、たった数ページで早々に済ませて、読者はすぐに腰を落ち着けることができるようになっています。
この明確性という点に関して、日本の漫画は、全体的な平均値がとても優れていると感じています。
映画は何もしなくても自動的に物語が進んでいきますし、絵が下手ということもないので、多少つまらなくても、ある程度は見てもらえます。
一方、漫画は読者にページを捲って貰わないといけません。1ページ1ページが常に勝負です。
しかも、今や漫画はネットでも読むのが当たり前の時代。
紙だけの時代よりも簡単に見てもらえるようになりましたが、それ以上に、簡単に見るのを辞められてしまうようにもなりました。一層見る目は厳しいのだと思います。
自分が漫画を読むときを考えてみてもそうでした。自分の場合なら、1p〜せいぜい長くて6pまで見てつまらなければ読まないなと思いました。
映画なら、冒頭の数秒〜3分程度に当たると思います。
説明ゼリフはNG。エピソードで示せ!
これはほんっっっっとうによくあります。これが始まると、多くの場合興味を失って、見るのが面倒くさくなってしまいます。一度ならまだ我慢できますが、2度3度と出てくると、リタイアしてしまいます。
例えば、「あいつはこういう奴で、こんなにすごい実績を持っていて、そしてこんな事もあったっけなぁ…あいつは本当に優しいやつなんだよ」と、知人、友人や同僚、上司などに説明させるのです。
いや、そこはエピソードで魅せてくれよ!!それは見せ場じゃん!!!と、毎度心の中で突っ込んでしまいます。
「あいつはこういう奴(Epi.A)で、こんなにすごい実績を持っていて(Epi.B)、そしてこんな事もあったっけ(Epi.C)なぁ…あいつは本当に優しいやつなんだよ(Epi.D)」
4つのせっかく視聴者が感情移入し、見せ場になるようなエピソードが、セリフだけで済まされる…
しかし、例外として、昼ドラや二時間サスペンスなどでは、家事をしている主婦や、年齢層高めの方向けに、あえてセリフで説明してるのではないかと考えられます。
実際、私も家事をしながら見ていた時に、画面を見ていない時間が長くても、ストーリーを簡単に追うことができましたので、なるほどそうかもな、と思いました。
終わりに
さて、如何でしたでしょうか。
この二つの定石を守っていなくても、高い評価を受けている作品は、媒体問わず沢山あります。表現は自由なのです。
ですが、エンターテインメント的に、そこは守っていて欲しいな、と 私個人の好みとしては明確に思いましたので、記事にしてみました。
少しでもシナリオ等のご参考になれば幸いです!